すこやか生活
第10巻6号
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(2 ページから続く)
機能の低下が起こるような変化があっても、元々の脳の働きがよいため、できなくなった脳の機能を補えることが教育効果の1つです。教育は中年以降になってからは、なかなか身につけることができません。子供のころからきちんとした、教育を受けておけば、先々認知症の予防にも役立つ可能性があります。 頭のケガも避けにくい、
認知症の原因の1つです。また、家族内発症する遺伝性のアルツハイマーも予防不能です。予防可能な危険因子 ずらっと並んだいわゆる生活習慣病がリスクです。また、体や頭、心に対する刺激の不足も危険因子となります。これらの因子を取り除くためにどのような点に注意していくか、該当する方は整理しておきましょう。
認知症予防に良い食事
認知症の発症には、長年のライフスタイルが関与しています。食生活に関しては、脳・神経細胞を傷害する活性酸素(フリーラジカル)を除去する食物を摂ったり、動脈硬化につながる脂質代謝の乱れを直すことが大切です。フリーラジカルの除去 ビタミンEやビタミンCを多く含む食物がフリーラジカルを除去します。具体的には、緑黄色野菜や果物です。中でも、緑色野菜がより効果的です。野菜ジュースでも結構です。肉よりも魚中心に 魚には、ドコヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)が豊富に含まれます。これらの脂肪は、動脈硬化を防ぎ、血管を若く保つことができます。これに対し肉に含まれる油には、血管の炎症を促し動脈硬化の原因になる油が多く含まれています。現在の高齢者
の食生活は平均して魚と肉のバランスは良いので特に変える必要はありません。若い人たちと同居していて肉ばかり食べている方は、魚を中心にするとよいでしょう。食べ過ぎも御法度です 体によいものはたくさん食べればよいかというと、そうとばかりも言えません。それは、総カロリーが増えれば肥満や、糖尿病、高コレステロール血症を招き、ひいては動脈硬化を起こして認知症へと進む可能性があるからです。 したがって、好きなものを食べたいだけ摂って、不足するビタミンやDHA、EPAなどの栄養素をサプリで補うという考え方には賛成できません。このあたりをお間違えなく、都合の良い解釈を廃し、広告に踊らされないよう気をつけて下さい。
運動で認知症を予防する
運動、特にウォーキング、ダンス、サイクリングをすると、アルツハイマー型認知症のリスクが減ると言われています。脳血管性認知症は、動脈硬化が原因ですから、運動によるリスクの軽減は言うまでもありません。 それでは、なぜ運動をするとアルツハイマー型認知症の発症を予防できるのでしょうか?アルツハイマーでは、脳・神経細胞の減少に伴い、認知機能テストでの成績が低下しています。これらがどの程度改善でき
るかが問われています。人で脳細胞の状態を観察することは不可能なので、ネズミを使った実験の結果になりますが、運動により脳へのβ-アミロイドの付着が軽減します。また、運動によって、脳・神経細胞の維持、再生、修復、成長などに関与する脳内の物質が増えてくることも証明されています。これらより、運動は単に脳を刺激するだけでなく、脳・神経を守る働きがあるようです。