すこやか生活
第10巻10号
ページ2
怖い糖尿病の合併症
糖高血圧、高コレステロール血症尿病、は、よほど重症にならない限り目立った自覚症状はありません。ところがどれもいったん合併症を起こすと取り返しのつかない病気ばかりです。全身の血管がつまったり破れる合併症です。特に糖尿病は動脈硬化を起こすリスクが極めて高いので血管病の原因となる不動の東の横綱です。 脳梗塞・脳出血 もしこれが起きてしまったらと思うと背筋が寒くなります。マヒで半身不随となり、一生治らないからです。特に若い方は何十年も不自由な生活を続けることになるほか、仕事などの社会生活にも支障を来します。後遺症を残す合併症の大横綱です。 心筋梗塞 冠動脈がつまって心筋が酸欠となり、胸が苦しくなり、心臓が動かなくなる病気です。突然死の原因となり、こちらも合併症の横綱です。あの世に行ってしまう人は記憶ごと消滅ですが、残された家族は路頭に迷うこともあり、家族が途方に暮れる病気の代表です。 糖尿病性腎症 人工透析に陥るもっとも多い原因疾患が糖尿病です。人工透析に入ると、週3回、4〜6時間ずつ透析
病院で過ごす生活を一生涯続けなければなりません。その上、全く味気ない減塩食と飲水制限も同様に続けることになります。長期の旅行に行くこともできず、出かけても名物を食べることすらままなりません。日常生活に容認しがたい制約を受ける合併症の大関です。糖尿病性網膜症 網膜の血管が破れて出血したり炎症で網膜が濁り目が見えなくなる病気です。初期ならある程度治療できますが、ひどくなると失明します。命には別状ありませんが、日常生活に支障を来す病気の関脇です。 糖尿病性末梢神経障害 手足の先のしびれや痛みが左右対称に出ます。進むと感覚がなくなったり、便秘やインポテンツなど自律神経症状が出ます。命に別状はありませんが、四六時中不愉快な感覚を覚えるので、不快指数の高い合併症の小結です。 代表的な合併症を恐ろしげに描きました。どれも出てしまうと、悲惨なものばかりです。糖尿病や予備軍の方に少しでも危機感を持っていただければと思います。
簡単なことから始めてみる
お金を貯めると通帳の残高が増え、使ってしまえば残高は減ります。この自明の理と同じことがダイエットにも当てはまります。食べ過ぎて運動不足になれば体重が増え血糖値が上がります。食べ物を控え、十分な運動をしてエネルギーを使えば、スリムになり血糖値やHbA1cも下がります。 ところで、今までの糖尿病の食事療法は学問的に厳密な事ばかりが提唱されてきました。たとえば食品交換表を使っていちいちカロリー計算をしたり、1単位
80Kcalの食品量を覚えて概算したりなどです。これらの事は基礎知識として知っていた方がよいのですが、仕事で計算を行う管理栄養士ではないのですから、毎日実行するのは非現実的です。何を隠そう私も3日間やってみて、ねを上げたことがあります。学生時代、栄養学の宿題として出たときです。 そこで、まずはできることからやってみることをお勧めします。例えば、毎日
(3 ページに続く)