ストレスと不安、うつ
不安は神経症、うつ病、心身症などの精神病のほか、ストレスが原因で起こります。現代社会は技術や情報の進歩が早く、ストレスが日増しに強くなってきています。自己責任を強く問われる経済改革による雇用の不安定化、いじめや学級崩壊など学校教育の混乱、離婚率の増加による家庭崩壊、逃げ場のない高齢化社会の加速などもストレスに拍車をかけており、これに起因する病気が激増中です。不安はそれを感じる本人の性格と周囲の状況が関係して起こる、漠然とした不快な心の状態です。この不安は一般的に誰にでも日常的に起こります。そして了解できる原因があっ
て、一時的に不安を感じても、普通はそのうち忘れることができます。中には不安が強過ぎ、なかなか消滅せず、一度消えてもまたすぐ出てきては、冷汗をかいたりドキドキして気持ち悪くなるなど、人を苦しめるものもあります。このような不安は一種病的で、治療が必要な場合も出てきます。 このようにストレスを常時感じているとうつ状態を起こすこともあります。多くは軽症のうつで、体の不調などを伴うことが多く、我々内科医の元へ来られる方もよくいます。今回は内科で見かける軽症のうつについてです。
うつ病ってどんな病気?
気分やムードの病気のうち、沈み気味になるのがうつ状態で、ハイになるのが躁です。誰にでも気分の上がり下がりはありますが、それが沈みっぱなしなのがうつ病で、上がり下がりを繰り返すのが古典的な躁鬱(そううつ)病です。このうつ病の定義や考え方も変遷があり、以前は内因性といい、いわゆる生まれつきや遺伝的にうつの素因を持つ人が発症する病気と考えられてきました。しかし、最近ではストレスなど外部環境の影響や脳自体の機能障害なども原因と考えられ、病気の裾野も広がって
一言で語りにくくなりました。原因によらず共通なのは症状です。初期は不眠や食欲不振を訴え、体重が減ったりします。抑うつ気分と言われる「気分が暗い」「悲観的」「やる気がでない」「眠れない」「体調がすぐれない」「イライラする」などの気分を覚えます。しかし、これらは正常な人でも感じることがあり、うつ病ではこれらの症状が社会生活が困難なほど強く、2週間以上長く続きます。冷静な判断力を失い、事実でないことまで心配したり(妄想や幻覚)、追いつめられているような
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