海外渡航と予防接種

 現地で流行っている感染症に自分がかからないためと、現地でほとんど発生していない感染症を持ち込まないために入国先から求められる予防接種が海外渡航にはあります。前者から見てみましょう。(生:生ワクチン、不:不活化ワクチン)
黄熱病(生):アフリカや南米のジャングルでサルの間で流行しています。初感染時の死亡率は30~50%と致命的な感染症です。入国先で接種が義務づけられ、接種証明書がないと入国拒否されることもあります。証明書は接種後10日目から有効(予防効果が発現する)となるため、入国10日以上前に接種する必要があります。
狂犬病(不):発症するとほぼ100%死亡します。日本では1950年代にほぼ撲滅されており、ワクチンは新たに開発されていません。暴露前に接種しておき、感染の危険がある咬み傷を負ったときは、再度感染後接種をするのが原則です。犬猫に咬まれただけでなく、そのひっかき傷や、吸血コウモリほか様々な動物が媒介しています。
A型肝炎、B型肝炎(不の仲間):開発途上国を中心に衛生状態が悪い国に蔓延しているのがA型、血液、体液や性交感染するのがB型で

す。海外赴任など長期に滞在する場合などは接種しておくことが勧められます。
四種混合:(不、破傷風、ジフテリア、百日咳、ポリオ)現在、破傷風以外の単独ワクチンはありません。破傷風は日本でも土いじりをよくする方は接種しておいた方がよいワクチンです。ポリオはパキスタンやアフガニスタンで流行中で、現地へ行く人は1年以内に接種をしていないと出国時に他国へ持ち込む可能性があるため、出られないこともあり得ます。
 以下は
後者です。
麻疹、風疹、おたふく風邪、水痘(生):
 基本的に子供の感染症という位置づけでしたが、日本ではワクチン接種が徹底されていなかった時代があり、若者や成人の発症も散見します。欧米の先進国ではほぼ撲滅されつつある感染症ですが、日本では散発的な流行が発生し、蔓延国と同様な扱いをされています。このため、欧米諸国のとくに高校や大学など若者と接する機会が多い場に短期でも留学する場合、海外赴任にお子さんが随行し現地学校に入学する際などには、接種証明書が必要になり、接種を行わないと入学できません。母子手帳で確認し、必ず済ませておきましょう。

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