主な真菌症の原因菌

真菌は主に、糸状菌と酵母に分けられます。ものによっては二形性真菌と呼ばれ、ある時は酵母の姿をし、またある時は糸状菌の姿をするカビもあります。バットマンやウルトラマンなど、正義の味方なら変身しても見栄えがしますが、生き残るために最適な形態に変化するカビでは、有り難くありませんね。
白癬菌
 最も有名な菌で、生える場所によって、水虫、爪水虫、タムシ、いんきん、しらくもなどと呼ばれます。ある学会の調べでは、足以外の問題で皮膚科を受診した患者さんの21%に足白癬があり、爪白癬は10%の患者さんにいました。このように皆さんが持っていても不思議のないありふれたカビです。白癬菌は糸状菌の仲間で、感染部位の皮膚をむいて顕微鏡で見ると菌糸が見えます。白癬菌は一種類の菌ではなく、トリコフィトン族という一群の真菌の仲間の総称です。
癜風(でんぷう)菌
 マラッセジア属という一群のカビの総称で、酵母の仲間に属します。胸や背中、腹の皮膚が好発部位で、胸板の中央部や、乳房の下(皮膚と胸の皮膚と接触する部位)が茶色くなっているのが典型です。水虫やタムシと比べてかゆみが弱いため、でんぷうに罹っているのに気がついていない方がほとんどです。我々内科医が聴診器を当てるときに気がつき、「この茶色いのかゆくありませんか?」と問うと、「大したこと無いけどちょっとかゆいかな。」という返答がほ

とんどです。
 治療は、白癬菌と同様の抗真菌剤クリームなどの外用薬です。白癬菌よりおとなしく、塗り始めて1週間以内に色が薄くなるなど効果を実感できます。白癬ほどではありませんが、色が消えてもしばらくはしっかり塗っておきましょう。
>カンジダ
 カンジダ・アルビカンスが代表的な菌で、出芽によって増殖する酵母の仲間です。口の中や皮膚に常在していて、免疫力の低下、抗生物質の影響による競合細菌の死滅などで増殖します。増殖すると白いクリームチーズのような外観をとります。ぜん息の吸入ステロイドを吸ったあと、よくうがいしないと、舌やノドが白くなったり、抗生物質を飲んだところ膣がかゆくなったり、おりものが増えたりする、口腔内カンジダ、カンジダ性膣炎などが有名です。内視鏡をしたことろ食道の所々にクリームチーズが付いているように見えるカンジダ性食道炎もありふれています。
アスペルギールス
糸状菌の一種で日常吸い込むことのあるありふれたカビです。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症という、ぜん息や気管支炎のような症状を起こす他、免疫力が弱っている人にたかる、日和見感染症を起こします。
クリプトコッカス
 酵母様の真菌で、日和見感染症を起こし、髄膜炎や脳炎を起こします。
ニューモシスチス
 以前は原虫でAIDSの人にカリニ肺炎を起こすと考えられていましたが、現在は真菌で日和見感染菌とされています。

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