体の中の水

 生物の起源は細菌のような微生物で、地球が海に覆われていたころに発生しました。その後、生物は多細胞化し、様々な臓器、組織を持つように分化し、陸ができてから海から上がり、人は現在の様に進化してきました。"みずみずしい皮フをしている。"などと言いますが、人の体の大部分は水でできており、生物発生時の細胞の組成を色濃く残しています。体重の60%程度が水なので、60kgの成人男性人なら36kgが水、つまり36ℓの水でできていることになります。これは標準体重の人の場合ですが、脂肪で体重が増えている場合は、水の割合が減りますのでおよそ、55%(太った人)~65%(やせた人)が、人の水分の割合と言えましょう。
 この水分の多くは細胞内に含まれ、
細胞内液と呼ばれます。これが水全体の2/3を占め、体重の40%です。そして、細胞の周りにはコラーゲン線維やリンパ組織など、間質と呼ばれる組織が取り囲んでいます。そこには、組織液やリンパ液という水分が存在し、合わせて間質液と呼ばれます。これが上記の15%分で、そこ

へ水を供給しているのが血管で、血液の水分である血漿は体重の5%ほどです。この間質液と血漿を合わせて細胞外液と呼びます。
 水の出入りは
↓↑で示しています。口から入り、便から出るほか、腎臓から尿として排泄されたり、はく息や汗として不感蒸拙と呼ばれる気づかない形で出ていきます。また、各区分間の水の出入りは横ので示すように、比較的自由に行き来し、体のバランス(恒常性)を保っています。
 細胞内液の水分が主に失われることは細胞内脱水と言われ、細胞外液が主に失われることは細胞外脱水と呼ばれ、脱水も二通りあります。乳幼児では、体重あたりの水分が
70%近くあり、呼吸数も多く、腎臓の濃縮力が低いため、水の出入りが活発で、脱水を起こしやすいので注意が必要です。
 水が過剰な場合は一般に尿から排泄されますが、この調節がきかない場合は、主に間質に蓄えられます。外から見える過剰な水は、
浮腫(むくみ)と呼ばれ、胸水腹水も同様な物です。

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