シティ(能力)を超えてしまい、再吸収しきれず、尿へブドウ糖が出てきてしまいます。これが、糖尿病患者さんの尿糖です。
 さて、インスリンの分泌はどうなっているのでしょうか?インスリンは膵臓のβ細胞で作られ、血液中に分泌されます。この仕組みは2つ。@膵β細胞にブドウ糖が入り
ATPが増えると、ATP感受性カリウム(K)チャンネルが閉じ、細胞の電気変化が起こってインスリン分泌に進む。このチャンネルはSUR(スルフォニルウレア受容体)の複合体を形成しています。
A食事をして血糖値が上が

ると、小腸上皮細胞から分泌される、GLP-1GIPと呼ばれるインクレチンというホルモンが分泌されます。インクレチンは血液に乗って、膵β細胞へ達し、この細胞のGLP-1受容体などのレセプターに結合しインスリンの分泌が行われます。
 インスリンは、筋肉その他の細胞にある受容体に結合し、ブドウ糖の細胞内への取り込みを促します。なお、小腸上皮、赤血球などは、常に糖にさらされているためインスリンの受容体がありません。脳の細胞にもありません。以上がブドウ糖に関連する、簡単な体の仕組みです。

DPP-4阻害薬

 数年前から使えるようになった内服薬で、前述のインクレチン(GLP-1GIPなど)を分解する、DPP-4という酵素の働きを抑え、血液中のインクレチン濃度を高めて、インスリンの分泌を促します。インクレチンは、血糖が上がったときのみ小腸から分泌されるので、低血糖気味の場合は血液中に存在せず、仮にDPP-4阻害剤を服用してもその働く相手がいないため、他のインスリン分泌薬の比べて低血糖のリスクは、あまりありません。このため、安全な薬として最近よく使われています。また、SU剤(グリメピリド、グリベン

クラミド)や、グリニド系(ナテクリニドなど)とインスリン分泌の仕組みが違うため、これらが効かなくなった場合にも有効な薬です。現在各社から8種類ほど出ておりどの薬もきわめて有効です。違いは薬の有効時間と、薬物排泄の場が、肝臓、腎臓、その半々であることなどで、患者さんのライフスタイルや、肝機能、腎機能に併せて使われています。ちなみに、肝排泄は、エクア、オングリザで、半々なのがテネリア、そして、他は腎臓排泄です。ただ、新薬なので値段が高いという欠点があります。

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