SGLT-2阻害薬

 SGLT-2は、腎尿細管の近位部にあり尿からブドウ糖を再吸収するための尿細管細胞の糖の通り道です。ここをブロックすれば、糸球体で濾過されたブドウ糖はうまく再吸収されず、尿へ出ていきます。つまり、食べたブドウ糖が、小腸から尿へ、他の体の部分を素通りして出て行く感じです。これならば、血糖は上がりにくくなります。その上、不必要な栄養分を体外へ出すため、体重が減るのが特徴です
 現在、スーグラ、ルセフィ、フォシーガ、アプルウェイ、デベルザ、カナグル、ジャディアンスの7種が日本で発売されており、どれもほとんど差はありません。
 尿にブドウ糖を出す時、同時に水分も出てきます。このため、体が脱水方向へ進みます。脱水は、血液の粘調度が上がり(血液がネバネバする)、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。特に高齢

者では、脱水に陥りやすいので注意が必要です。なお、SGLT-2は腎臓に負担をかけそうなので、糖尿性腎症を悪化させると思われがちですが、実際は腎症を抑制する方向に働くようです。
 前述の理由で、
SGLT-2阻害薬は、比較的若く、動脈硬化が進んでいないような人に適しています。また食べ過ぎで太っている方も体重を減らすので、良い適応です。なお、飲んだ方が皆やせるわけではないので、錯覚しないことが大切です。血糖やHbA1cが下がり体重が減るため、もう少し食べても大丈夫と思ったら、これも大間違いです
 結局たくさん食べてしまえば元の黙阿弥です。体重が減ったのは薬のせいだと冷静にとらえ、食事や運動療法も怠らない方が、この薬で血糖値が下がります。基本的な日常生活の注意を怠る方は、結局元通りになってしまいます。