急を要する腹痛

細菌性腹膜炎
 前ページの胃潰瘍の図の様に、胃腸の壁の底が抜けて、食物や便が腹腔内へ散らばることで起こる炎症が中心です。原因は、胃・十二指腸潰瘍やガンの穿孔(穴が開くこと)、盲腸(虫垂炎)、憩室炎などが代表です。
 筋性防御と呼ばれる痛みで腹筋がかちかちにこわばるのが特徴です。炎症が強いため、高熱を伴うことが多く重症で、抗生物質だけで治ることはまれなので、至急手術で抜けた底を処置しなければなりません。
腸閉塞
 様々原因で、腸の内腔の通過障害が起こった状態です。手術の際のおなかの中で腸の癒着が生じ腸がねじれた場合、大腸ガンなどで腸の内腔がふさがった場合、腹膜炎などで腸の動きが止まり、見かけ上、腸の通過障害が起こった場合等です。通過障害が起こると、食事どころか水を飲んでも吐いてしまいます。また、腸がねじれると、酸素や栄養を送っている血管が折れ曲がり、血流障害を起こして腸が死んでしまうこともあります。ここまでくると命に関わります。
 口や鼻から腸へチューブを入れ、閉塞部の口側に溜まっている腸の内容物を流

し出し、場合によっては閉塞部を解消する手術が必要です。
急性膵炎
 アルコールや胆石が原因で膵臓の消化液が流れ出る管がつまり、膵臓自身が融けてしまう病気です。膵臓が融けると、そこからまたタンパク分解酵素が出てきて、膵臓の周辺まで融け出し、大事に至ります。内臓のメルトダウンとも言えるでしょう。
子宮外妊娠破裂
 子宮でなく卵管内で受精・着床が起こり、そこが破れた状態です。大量出血で、お腹の中が血の海になることがあります。
解離性大動脈瘤
 内臓や足へ血液を運ぶ大動脈の壁が裂けることです。足の方向へ裂けていくので強い腹痛が足方向へ進み、同時に内臓や、足の循環障害が起こります。動脈硬化で大動脈が傷み脆くなってしまうことが原因です。治療は手術です。
尿道閉鎖
 高齢者の男性でよく見られ、前立腺肥大などで尿が出ず、尿が溜まって膀胱がパンパンにふくらみます。早期に導尿しないと、腎臓を痛めてしまいます。

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