|
|
|
|
|
|
腹痛と一口に言っても、臓器もそれぞれ、場所もそれぞれ、原因や痛みの仕組みもそれぞれです。ところが、おなかが痛いとほとんどの人は、「胃が痛みます。」と言って来院します。胃の痛みの場合もありますが、痛みの本当の原因がわからないこともまれではありません。そこで、何はともあれ、胃を例にとって、おなかの痛みの起こる仕組みについて考えてみましょう。 下の図は、おなじみの胃がおなかに収まっているところです。おへそのあたりで胃を縦切りにして、体の左側から見たのが右の図です。おへそのある前方から、皮膚、腹筋があります。隣接した緑の縦線から、右側の緑の縦線の間が、腹腔と呼ばれる、いわゆるおなかの中にあたります。胃を輪切りにすると、内側から、胃粘膜、粘膜下層、筋層があり、臓側腹膜に包まれています。背中側の臓側腹膜の後ろは、膵臓、腎臓や脾臓、神経、腹部大動脈などがあり、後腹膜と呼ばれています。一番背中側には、腰椎と呼ばれる背骨があります。背骨より前方のどこかに問題があれば、おなかの痛みを感じます。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
この図の中で痛みを感じやすいのは、神経です。次に敏感なのは腹膜で、少しのことで痛みを覚えます(臓側、壁側ともに)。胃壁では、粘膜下層も比較的神経が豊富なので、痛みを感じやすい部分です。痛みの原因として皆さんが一番イメージしやすい胃粘膜がこれに続き、最後が腹筋などの筋肉です。その他、まれですが大動脈の壁が縦に裂け目が入る解離性大動脈瘤や、動脈が詰まるため腸梗塞(?)といってもよい虚血性腸症候群も比較的強い腹痛の原因です。最近あまり使われない言葉ですが、"腸ねんてん"は腹腔内で起こる癒着によって、腸が動く時に移動制限を受けて、引っ張られて腸がねじれた状態です。一時的な腸管の血流が滞るので、狭心症のような痛みがでたり、腸の運動が止められ、腸閉塞となってガスや便が腸に溜まり、お腹がパンパンにふくれる痛みが生じます。 次に胃の病気でこれらの部位で生ずる痛みについて見てみましょう。 S
|
|
|
|
|