の筋肉量になったとき、サルコペニアと考えられています。
 さて、筋肉の最小単位である、筋線維(筋細胞)には大きく分けて次の2つのタイプがあります。
速筋(白筋):神経の指令を受けて速やかに収縮するタイプで、強力な収縮力を発揮するものの、持続力の無い筋肉です。主にATPや、ブドウ糖を無酸素状態で解糖し、エネルギーとして利用します。とっさの動きや火事場のバカ力の時に発動する筋肉です。
遅筋(赤筋):ゆっくりと持続的に活動をするための筋肉で、強力ではないものの疲れにくく、長続きする収縮を行います。運動の材料は主にブドウ糖で、解糖による糖の分解後、クエン酸回路で効率よくブドウ糖を最後の最後まで利用しエネルギーを使い切ります。歩行やジョギング、自

転車などの有酸素運動の時に使われる筋肉です。赤血球に含まれ赤い色素のヘモグロビンと似た、ミオグロビンという酸素を結合させるタンパク質があるため、赤く見えます。お肉が赤いのは、この色です。
 さて、老化で起こるサルコペニアは、主に
速筋の筋線維変性し減少します。このため、瞬発力が低下し、立ち上がったり、階段を上がったりする能力が低下します。また、転びそうなときに、とっさに姿勢を立て直すことができなくなります。高齢者の筋肉は、昔と同じような太さに見えても、速筋が減少しているだけでなく、そこが脂肪に置き換わっており力を発揮することができません。
 サルコペニアに対する対策は次の部分で述べることにします。

(図の説明)神経細胞は、神経線維によって筋細胞とつながっています。この一単位を、運動単位と呼びます。速い動きに対応した白筋と持続的な有酸素運動に適した赤筋は、筋肉の中で各々独立しながら混在しています。これによって、筋肉は速い動きにも、持続的な動きにも対応できるのです。高齢者では、筋肉の太さは変わらないようでも、白筋細胞が退化して脂肪等に置き換わっています。