骨のリモデリング、骨量と骨強

 図の細長い骨は大腿骨の根元付近です。一番上が骨頭と呼ばれる大腿骨が骨盤のソケットにはまる部分で、次にくびれている部分が大腿骨頸部で、高齢者が転んで歩けなくなる原因で有名な大腿骨頸部骨折はここが折れます。そして、骨の外側の部分は皮質骨と呼ばれ、骨がみっちり詰まっている部分で、重力を支えたり筋力を伝える部分です。真ん中の赤い部分に張り巡らされている黄色い梁の部分が海綿骨です。海綿はスポンジという意味なので、細い梁以外はスカスカで、骨以外の赤い部分は骨髄です。成人では徐々に骨髄の造血細胞が減って、赤い部分が脂肪に置き変わります。
 皮質骨も海綿骨も新陳代謝で古くなったり傷んだ部分(右図の上のグレーの部分)は、
破骨細胞で処理されています。そして、できた空間を埋めるように骨芽細胞が新しい骨(下のうす黄色)を作っていきます。骨の新陳代謝はリモデリングと呼ばれます。この2つの細胞は骨に定着しているのではなく血液中に存在し、必要に応じて作業をする場に集まってきます。血液に多い細胞達ですから、血液が豊富な海綿骨にはすぐ出動できるため、皮質骨と比べ海綿骨の方が骨のリモデリングの速度が速いのです。このため、リモデリングの過程で破骨細胞の活動が増したり、骨芽細胞の働きが落ちることで起こる

骨粗鬆症は、海綿骨の方が皮質骨より目立ちます。
 骨は
骨塩(カルシウム塩)やコラーゲン線維でできた骨基質と呼ばれる成分でできていますが、この骨基質の量を骨量と呼びます。ただ、骨の一部を採取して分析する以外、コラーゲン線維などのタンパク質の量を測定することは困難なため、便宜的に骨塩の量を測定し、骨量としています。
骨密度:骨量を骨の体積で測ったものです。ザックリ言うと、骨密度とは骨の体積あたりのカルシウム塩の量と言えます。
骨強度骨の強さは骨密度と骨質で決まると言われています。ここで骨質とは、骨梁の太さ、石灰化の程度(カルシウム塩の沈着)の総和です。リモデリングで置き換わる骨の割合が多いほど、破骨細胞が作る穴が増え、骨塩の沈着も間に合わず、スカスカで骨密度の低い骨質の低い骨ができてしまいます。閉経後の女性で起こる骨粗鬆症のパターンです。閉経後はエストロゲンという女性ホルモンの量が低下し、骨の吸収が進んで、リモデリングのスピードが速くなり、どんどん骨吸収が進むからです。高齢者では逆に、骨芽細胞が減ってリモデリングのスピードが落ちます。この場合は、リモデリングの骨を作る方が落ちるので、骨質の低下が目立ちます。